ゴトウ

仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーションのゴトウのレビュー・感想・評価

1.5
他作品の本来の歴史が改変されて、それを元に戻す力添えをするというテレビシリーズ『ジオウ』準拠の展開。ジオウはこれやってればいいのよ。『MOVIE大戦』シリーズみたいに尺を半分ずつにするわけでもなく、かなりゼロワンに見せ場も尺も譲っているのは、自ら「意味がない」とまで言ってみせたジオウだからこそか。ディケイドやジオウは話に深く絡めば絡むほどストーリーが破綻するうえ、過去のライダーを召喚しまくったりすると絵面がごちゃついてしまうので、これくらい本筋からは引いておいて他ライダーの武装ではなくジオウ単体のフォームチェンジを見せてくれるくらいがちょうど良い。しかし肝心のゼロワンも破綻気味なので普通に面白くない。そんな投げっぱなし反則だろ!とかクソ寒いメタネタやめろ!という怒りがないだけマシか。

テレビシリーズはチラ見しかしてなかったけど、「共存する」「人間のパートナー」と言いながらヒューマギアを破壊して解決するし、人間には不可能な「ガワだけ同じものを用意して同一人物として扱う」みたいなグロい倫理がキモい。あと、「ある日突然社長で仮面ライダーになった俺に、俺に尽くしてくれる美少女アンドロイド秘書が…」っていう始まりからキモいんだよな。「ヒューマギアと共生できる!」って言ってる主人公のことを、「ヒューマギアは全員ぶっつぶす!」って言ってる人が援護してるのとかもどういう感情で観れば良いかよくわからないし。父親代わりがヒューマギアって設定もいる?立ちはだかる敵を倒すこととヒューマギアを破壊することが微妙にズレていて、結局はライダーキックで爆殺するという落とし所になってない落とし所しか用意されていない。ジオウが一歩下がってるのに勝手に破綻すんなよ。

仮面ライダー1号を模した敵をジオウとゼロワンが各々に撃破する。それぞれ平成ライダーシリーズの「アンチ昭和ライダー」という出自との決別と、令和ライダー1号としてシリーズを始めることの宣言の儀式。「仮面ライダーは元来殺人兵器」みたいなことを言い始める生駒ちゃん、いくらなんでも老害ライダーファンすぎる。「仮面ライダーに原点も頂点もない」と応じるジオウのセリフくらいのメタ度合いならまだ許せる。ジオウと接続すると破綻したバースに巻き込まれてしまうことになるので、ゼロワンの記憶を消去する必要があることは納得できる。が、殴り合う必要あるのかはよくわからん。新旧ライダー殴り合いの絵面が欲しいのだろうけど、ジオウと繋がろうが繋がるまいが、ゼロワン単体でめちゃくちゃだからな。

高橋文哉さんはドラマ等でも高い評価を受けていますが、この映画で見てる分にはギャーギャー叫んでるだけの印象。爆売れ中の井桁弘恵さんも確かにかわいいけど、こんなにも棒読みなのね。良い芝居したから売れるというわけじゃないのが難しいですね。演技力より使い勝手の良い美男美女かどうかの方が優先順位は高いのかしら。ジオウ勢だと渡邊圭祐さんが一番露出多いかもしれないけど、無茶苦茶なイケメンだもんな。毛色は違えど、『12モンキーズ』と立て続けに「過去の改変は不可能」というタイムスリップものを観た…こっちは結局歴史変わってた気がするけど…。
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