ShinMakita

無垢なる証人のShinMakitaのレビュー・感想・評価

無垢なる証人(2019年製作の映画)
2.2
弁護士も人間だ。良心がある。



弁護士ヤン・スノは独身の46歳。人権派弁護士として活躍していたが、パーキンソン病の父を抱え、生活のため大手法律事務所に移った。だがそこでは、弱者を守るこれまでとは全く逆の業務の毎日。そんななか大企業の提灯持ちというイメージを払拭したい事務所トップが、スノの清廉なキャラを生かすため、彼にマスコミの注目度が高い事件を任せることにした。

郊外の一戸建てで、資産家の老人がビニール袋を被って窒息死した。その瞬間を目撃した向かいの少女ジウは、袋を被った老人と家政婦ミランが揉み合っていたと証言。警察は殺人事件としてミランを逮捕する。スノはミランの国選弁護人となったわけだが、接見すると、ミランは袋で自殺しようとする老人を止めるため揉み合ったと証言する。信憑性のあるミランの証言、近所の人が話すミランの評判から、スノは無実を確信する。しかも証人ジウは自閉症でコミュニケーションが取りづらい少女だった。これなら余裕で裁判に勝てると踏んだスノだったが…


「無垢なる証人」



韓国映画界を代表する「正統派イケオジ俳優」チョン・ウソンの主演作。これまでノワールな刑事や軍人の役しか見たことなかったから、こういうスマートで人情味のある役は意外でした。眞島秀和と長塚京三を足して2で割ったルックスですよね。ディーン・フジオカの醤油和えと言ってもいいかな。自閉症少女役のキム・ヒャンギも上手いです。

弁護士が自閉症少女と心を通わせる中で、己の良心と葛藤していくドラマ。そして裁判が終わった瞬間から、話は強引にシフトチェンジされていきます。裁判中はヒューマンな展開と音楽で昼間メイン、でも後半は画面が暗くなり雨も降るという、前半と後半のコントラストが素晴らしい。それでもエンディングは「明るく」演出し、しっかり泣かせにかかるのは監督の特性かも。韓国映画が苦手な人にもオススメできる良品。
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