8骨8

映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめての8骨8のレビュー・感想・評価

4.0
プリキュア素人ですが、強い勧めがあったので観てみました。
一応テレビアニメ版ありきの劇場版ということは理解しているのですが、さすがにアニメ全編視聴は厳しいので劇場版だけの視聴となります。
先に結論から言ってしまうと、それでも十分楽しめるつくりになっています。
普段見ない人にもおすすめしたいのでネタバレを避けて感想を書きます。

本作は子供向けながら、友情や愛の本質にせまった作品であり、大人の視聴にも堪え得るおもしろさがあります。
あらすじとしては、地球外生命体ユーマとメインキャラたちが出会い、共に成長して、色々あって別れが訪れるというものです。出会いと別れのジュブナイル物の王道ですね。

まずオープニングがうまいです。世界観や、メインキャラたちの性格、戦闘スタイルをかなり手際よく描写してくれます。メインキャラたちはそれぞれの口癖や個性がかなり強く、非常にキャッチ―なので誰がどんな感じのキャラクターなのかがすぐに分かるのでテレビ版未視聴でも全く問題ありません。

地球外生命体のユーマは言葉もなく、はじめは表情すらなく圧倒的"他者"でありますが、主人公たちの仲良くしようとする態度に感応するように感情表現をするようになります。ここの仲良くなる件もめちゃくちゃいい。主役の一人、星名ひかるは積極的に相手を理解しようと歩み寄る正統派な社交性高い人間。一方で、もう一人の主役の羽衣ララは少し引っ込み思案で初めて出会う相手に警戒心を隠し切れないというスタンス。誰もが社交性モンスターではないので、みんながみんなひかるちゃんのようには振舞えないと思います。それでも、ララちゃんのように仲良くなろうとする気持ちがちゃんとあって、素直にありがとうやごめんねが言えればゆっくりでも仲良くなれる。そんなストレートな希望的メッセージに結局感動してしまう。一貫してユーマは人語で話すことはないのですが、それでも共感や反発などの感情のやり取りが成り立つのもいいですね。

それからユーマを元居た宇宙に帰そうという話で別れが訪れるわけですが、お別れしたくないという気持ちが強すぎてララちゃんがぐずったり、地球外生命体ユーマが実は非常に希少な生物だったりと色々あるわけですが、詳しくは観てのお楽しみです。

ここで、別れたくない、宇宙に帰したくないという気持ちについての反省がララちゃん自身によってなされます。「せっかく仲良くなったのに別れたくない」という気持ちは仲良くなった人同士なら必ず起こる感情ではあるのですが、それだけで突っ走るとただの自己満足で相手の気持ちを考えてない一方的な欲望でしかない、ということに気付きます。本当の友情は、愛は、相手がどうあればよいかを相手の立場で考えてこそ成り立つものだと悟ります。思いやりと相互理解が最重要であるということですね。ここら辺涙なくして観られません。

戦闘シーンは迫力満点の超絶アクション作画で最高にかっこいいです。単体で戦ってダメで、個性を組み合わせてチームワークで戦って勝つ。逆に敵はチームワークがなくて負ける。というところも、ただのパワーインフレで勝つのではなく、勝利にしっかりとした理屈付けがなされていてバトルものとしてのクオリティも高いです。

ラストでは、サブタイトルの「星のうたに想いをこめて」を上手に回収して終わります。この辺もめちゃくちゃうまい。
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