常盤しのぶ

エクストリーム・ジョブの常盤しのぶのレビュー・感想・評価

エクストリーム・ジョブ(2018年製作の映画)
4.0
少し前に日本でもにわかに流行っていて地味に気になっていた。普段は冴えない五人組が犯罪組織を検挙すべくなんやかんやする様子がコミカルで楽しい。”犯罪組織のアジトがある建物の対面に位置するチキン屋を買い取って店を回しつつ張り込みをしていたら店の方が繁盛してしまう”という思わずツッコミを入れたくなる変な状況。

『店を買い取ったからには開店しなければ不自然だ』

『やるからには本気で。実家の味をアレンジしよう』

『店が繁盛したぞ! よし、二号店を出そう』

『あれ、裏で何か工作されている……?』

……とまぁそんなことにはならんやろと言いたくなるが、妙~に説得力があるのがまた面白い。麻薬捜査班としての給料よりもチキンを売った方が儲かるから家での扱いも良くなる。あれ、もう麻薬捜査班辞めてチキン売ってりゃよくね? となりそうだがそうならないのがまた良い。

店が特別忙しい時に組織が尻尾を出したのに追いかけたのが1人だけという悲しい状況。この事件(?)あたりからチキン店の立ち回りが怪しくなり、陰謀の手助けもあり店は崩壊寸前に陥る。

のだが、そのあたりから終盤にかけての彼らの麻薬捜査班としての能力が十全に発揮されることとなる。何故彼らがうだつの上がらない状態でも組織を形成し続けられるのか。何故班長の同僚はこんなうだつの上がらない班の手柄をわざわざ横取りするのか。ラストに明らかとなる。

前半のチキン店コントも好きだが、冗長である感は否めない。だが、そのグダグダ感を存分に味わったからこそラストのアクションシーンでカタルシスが大爆発する。

本作は喩えるならば、ラストがバシッとキマる吉本新喜劇である。お決まりというか客が笑うか笑わないかくらいのゆるいギャグを随所に散りばめ、ラストで一気にまくし立てる。シリアスとコミカルのバランスが新喜劇に似ているなぁとなんとなく思った。そうでもない?

ところで、気になる相手のスマホにしれっとGPSアプリを仕込むのは韓国ではあるあるなのだろうか。日本でもそういうのなくはないと聞くが、怖いなぁ……。