よーすけカサブランカス

ボーダー 二つの世界のよーすけカサブランカスのレビュー・感想・評価

ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)
3.9
人間の生活に溶け込んでいる彼らに対して抱いてしまう嫌悪は、彼らが異なる種族だからではなく、その風貌を醜いと思い不快さを覚えるからなのだが、この快/不快という原理はあらゆる差別において正当化のために使われるし、その原理を生み出す美醜の判断は、どう平等に振る舞おうとしても我々のなかに抜き差し難く存在する。彼らの容貌は、そんなことを意識させる。彼/彼女が最後には人間からの逃避でも復讐でも、また服従でもないところに立ち、種の繁栄が仄めかされるのは、この作品において考えられるべきなのは彼/彼女の決断というよりは、留まった彼らと共存することになる我々がいかに振る舞うか、であることを示しているように思う。