ちろる

FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティーのちろるのレビュー・感想・評価

3.8
史上最悪のイベント失敗を謳ったドキュメンタリーという珍しさに惹かれて鑑賞。

インスタ映えするおしゃれな南の島を貸し切って、有名なモデルやミュージシャンたちと超セレブな最高なバケーションを楽しんでみませんか?

突如として現れたオレンジタイルのインスタフィード。
ざわつくSNSユーザーたちは流行に追い付かれまいと、この『FYRE』たる音楽フェスについて検索を始める。

プロモーションはとびっきり豪華でつかみは完璧。
後始末は最悪。
インスタ映えホイホイの結末は、あまりにもひどい出来栄えだったのだ。

私は日本人なのでもちろんこの詐欺事件を全く知らない。
誰がどうバカで誰がどう狡猾だったのか全く前情報なく観たのが良かった。

『FYRE』の代表である実業家ビリーはたしかに一見すれば穏やかそうで人の良さそうな男である。
彼自身へのインタビューは無いのだけど、彼の映像や周りの人の彼に対するコメントはたくさん残されている。
「カリスマ性がある」「オタクだてど頭がキレる」「先見性がある」と割と比較的高い評価、しかしそのビリーと杜撰さやハリボテ感が明るみにされていく度に、どこまでやばくなっていくんだろうと(悪いけど)ちょっとワクワクしてしまっている自分がいた。

しかし意外にも表面しか見てないビリーとは異なり、このイベントに関わったスタッフはとても冷静で優秀。
最悪な上司の元で、お金も、計画も無計画なままに勧められるこのフェスに関わったばっかりに大切な時間と労力を奪われてしまった事が分かってくると、ワクワクしてた自分に本当に反省。
何よりあのバハマのレストランオーナーのおばちゃんの涙辛くてもらい泣き。

人によっては、当時は関わったスタッフを責める人もいたのだろうけど、一応有名モデルやタレント、そしてミュージシャンを広告塔にしてる実業家ならば大丈夫だろうと思うのも無理はない。
お金を提示されたのなら断る理由だってない。
お金を払ってバハマに来た客たちよりも彼らの方がよっぽどの被害者だったのだ。

いまや誰もが、簡単に広告をうてる時代、何がほんとで何が嘘か、見極めることが困難なのかを思い知らされる。
疑ってかかりながら生きていくのってほんと辛いけど自分で調べて切らなきゃダメな時代なんだろうな。

因みにジャルール途中から逃げた?
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