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任侠学園のmatchypotterのレビュー・感想・評価

任侠学園(2019年製作の映画)
4.3
この手の映画、大好きだわ。

今野敏著の任侠シリーズという原作があり、『任侠書房』が1作目、2作目がこれ『任侠学園』。その映画化。

たまたま手に取った原作を読んだ時は一気読みした。めちゃくちゃ手軽に、面白く、熱く、優しく読める。

その映画。このキャストで。
個人的にはもう観る前から「おもしろいこと」が確定してた。期待通り面白かった。

西島秀俊、カッコ良すぎる。
西田敏行、白竜、中尾彬、光石研、『アウトレイジ』系の“ガチ勢”の面々、盤石、絶対的に盤石過ぎる。

伊藤淳史、池田鉄洋、そのカッコ良さと“ガチ勢”の間をうまく砕く笑いとホンワカのバランス。
危うく殺し合いが始まりそうなVシネ的な
「あんだとぉ、くぉるぁ〜」
「あぁぁあ?なぁんだぁぁ、やんのかぁ、てめぇぇええ」
の間をコミカルにリズミカルにエンタメに昇華させる技量。

それらのバランスがスゴく良い。
本を読んだ時もそう思ったけど、映画を観ても同じ思いになれて感激。
任侠にも、学園ドラマにも熱く震える。

小さな小さなヤクザの組「阿岐本組」。
組長のその人情の厚さから兄弟分の別の組から、半ばだまくらかされて“腫れ物”のお鉢が回ってくる。

今回は経営破綻寸前の高校の面倒を見る羽目に。
組長に言われるがままその経営再建に理事として駆り出される若頭、日村誠司。
ブレず、厳しく、時に優しく、無骨ながらに、とても懐が深い兄貴分。

本人からしてみれば、学もなく、むしろ嫌な思い出しかない学校。とはいえ、親分の仕事。それは自分の仕事。何が何でもやり遂げる。

一見普通に見える学校に潜む闇。
何から手をつければ良いのか、何を手につけて良いのか暗中模索。

それらを「任侠道」で真っ向から立ち向かう。
面倒ごと、嫌なこと、汚れ仕事は全て日の目を見る生き方ができない自分たちヤクザもんの得意分野だ、と。

日頃から「人に迷惑をかけて道を外れた分、人の為に為すこと」をモットーとする「阿岐本組」。
人に笑われようと、泥水飲まされようと、親の言うことは絶対守り、己の“任侠道”を貫く。

そうして、少しずつ闇の中から一筋の光を見出し、少しずつ少しずつ焦らず変える。変えてくうちに、周りがついてくる。決して動じない。

自分を糧にして、人の道を照らす。
自分が外れてきた分、何が外れてるかがわかる。
自分は戻れなくても、まだ戻れるヤツのことは、たとえちょこざいなクソガキでも命を掛けて元に戻してやる。

まさに「人の為に為す」“任侠道”、ここにあり。

多少極端で、露骨なのだけど、気持ち良く、とことんストレートにわかりやすく突き進む。
それにより、案外に的を得た社会問題とかにも触れてく感じとかも含めて心をグッと掴まれる。

これ、何故かあんまり劇場の興行がそこまで大きくなかったからな。続編はないのかなー。残念だなー。
めちゃ面白いのに。

葵わかな、桜井日奈子もめちゃ可愛いな。
あの学生たちも何か愛嬌あって良かった。

原作に忠実かというと要所要所がそうでもないような気もするけど、原作の雰囲気をちゃんと映画に詰め込んでて、よくまとまってるし、最高だわ。
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