トゥルンバの祭りやそこで紙細工等を売っている少年とその家族っていう題材や若干の資本主義に対する批判的な姿勢は悪くなかったけれど、秒数が少なめのカット割りとか祭りの予想以上に断片的な描写とかが気に入らなかったからか途中から中々に退屈感を覚えた。

半ドキュメンタリー的な部分もあったとはいえ、意外とドラマ性がある内容も自分好みとは言い難かった。

やはり非職業俳優を使って映画を撮るならもっとワイズマンのようにカット割りを少なくドキュメンタリー的にするか侯孝賢やキアロスタミみたく構図を気にするべきだと改めて思い知った。

● キドラット・タヒミック特集
●料金1100円
●あらすじ
トゥルンバという年に一度の村の祝祭の日、たまたま通りかかったドイツ人の民芸品買い付けの女性が、カドゥの家族の開く露天の人形をすべて買い取ったことで、一家に異変が起きる。金の亡者と化した父親とカドゥは翌年のトゥルンバの季節の頃、ドイツへと旅立ち……。
●世界経済に巻き込まれて収入は安定して豊かになったものの生産に忙殺され、お祭りにも参加出来なくなった父親の姿を息子の目を通して描く。
● キドラット・タヒミックは監督に徹し登場せず。奇をてらった展開はなく、監督作品の中でも観やすかった。どこか懐かしく、それも失われていくだろう郷愁も覚える。

基本寝ていたので筋なんかわかっていないが伝統が資本主義に呑まれていく様を子供の視点から捉えていてやわらかノスタルジー。ドイツに民芸品かなんか売りに行く親父の誇らしげな顔と一抹の寂しさ。ドキュメンタリーとフィクションの入り混じる民話的な語り口も面白かった。