らさぐらむ

イン・ザ・ハイツのらさぐらむのレビュー・感想・評価

イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)
4.4
ニューヨークのワシントン・ハイツに住む移民の人々が、苦しい生活に耐えながら夢と希望を高らかに歌い上げるミュージカル映画。

2回目、ドルビーシネマで鑑賞。
評価が変わったため再投稿。

1回目に登場人物の関係性とかストーリーの大筋を理解していたためか、めちゃくちゃ良かった。
たぶん1回目は字幕を追うのに必死で、かと言って字幕の内容を全て理解できていた訳ではなかったため、薄いストーリーに感じてしまったのかな。移民がどうのこうのという話ではないかも笑

誰もが現状に満足しているわけではない。
ある者は故郷に想いを馳せ、ある者は輝かしい将来を夢を見る。みんな自分自身のために、何か変わるかもしれないと、人生の意義を見つけようと新天地を目指す。

でも、現状だって素晴らしい。
周りを見れば、自分の夢を応援してくれ、サポートしてくれる人々がいる。
「自分のために」から「誰かのために」へと視点を変えることができれば、退屈な人生だって意義深いものへと変わっていく。
小さな夢だって、集まれば大きな夢へと変わっていく。

年長者は、自らが築いてきた道を振り返り、夢と希望を若者に託す。
若者は、彼らの想いを受け継ぎ、可能性あふれる未来へと歩み出す。

前置きが長くなったが、この作品は、ワシントン・ハイツというコミュニティーで育った若者たちが、「誰かのために生きる」大人へと成長していく姿を描いたヒューマンドラマだ。

移民というステータスが社会的に無力であっても、彼らの魂は何よりも力強く、彼らの歌と踊りは人々を勇気づける。
そんな強いメッセージを、2回目の鑑賞では感じることができた。

最初はピンと来なかった音楽も、いまでは自然と口ずさんでます笑
1回目でイマイチだと感じた方、ぜひもう1回鑑賞することをお勧めします!


【最初のレビュー】
かなり楽しみにしていた作品。
ミュージカルということももちろん、リン=マニュエル・ミランダの作品ときたら観ないわけにはいかない。ただ、先月あたりにこの映画のサントラが配信されて聴いてみた感じ、あんまりキャッチーな音楽がないなーというのは不安要素だったが......

よかった。
でも絶賛するほどはハマらなかった。

画面は煌びやかだし、陽気な音楽は自然とリズムを取りたくなる。圧巻のダンスシーン、キャスト陣の歌唱力も素晴らしかった。
しかし、ストーリーがそれほど魅力的ではなく、かなり長い映画に感じてしまったのが残念。

登場人物たちの苦悩に感情移入できなかったのが大きいかな。
日本に住んでいると移民の人々と関わることはほぼ無いし、彼らの前に立ちはだかる問題を意識することもあまり無い。
だから彼らの歌が素晴らしくても、「へー大変だね」みたいな感じになってしまった。
唯一理解できそうだったのは、大学に進学したニーナの心境だったのだが、とはいえ、彼女が受けた差別は完全には理解できない。
結局、「辛くても歌って踊ればなんとかなる」みたいな薄っぺらいストーリーに感じてしまった。

移民が受ける差別や不平等といった社会問題を、ヒップホップやラップ調のミュージカルに仕立て上げる手腕は見事だし、移民や差別の問題について考えるきっかけにはなった。
期待していただけに、映画に入り込んで共感することができなかったのが悔しい。

2021-062(025)
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