ラグナロクの足音

イン・ザ・ハイツのラグナロクの足音のレビュー・感想・評価

イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)
2.9
ボリウッド映画かよと言わんばかりの2時間半ぶっとおしで歌い踊り狂うラティーノミュージカル。ワシントンハイツに住んでいるプエルトリコやドミニカの移民たち、彼らは自らの身分で仕事にも就けず、貧乏な毎日。主人公のウスナビは、そんな現状に不安を抱きつつ、故郷にある今は亡き父親の店を継ごう夢を抱く。彼の夢だけでなく、各々の夢が音楽とともに奏でられ、叶うものもいれば敗れるものも、そして諦めるものも、肯定される。アメリカらしい内容。しかし、映画の脚本としてみると、支離滅裂すぎて評価ができない点も多々。まず停電の日を物語の重要なプロットとして設定しているようだが、いざ停電で起きたことといえばアブエロの死だけであり、しかもその死も重さが欠けている(街の世話係なのはわかったがそれだけ)時点で破綻している。ナスナビが恋をよせるヒロインもただ可愛いだけが取り柄の全く現実離れしたファッションデザイナー志望であり、そんな彼女の願いだけでラストのクライマック、ウスナビが夢を方向転換するあたりも白け具合がはんぱなかった。ほかにもCGはひどい出来だし、大学諦めて活動家になる彼女の動機も薄すぎるし、なんだか物語として物足りなさが否めなかったなあ。音楽は良いんだけど。
ラグナロクの足音

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