加納土のセルフドキュメンタリー。
シングルマザーの母が自分の人生と"母"としての人生を両立する為に思いついたのは、共同保育という新たな"家族"の形だった。その家族は建物の名前から「沈没家族」と呼ばれ、当時のメディアでも騒がれていた。
当時は「土くん」としてテレビドキュメンタリーに撮られていた彼が大人になってセルフドキュメンタリーとして、撮る側に回っているというのが一つ面白いと感じた。
子供の時はその異質な環境に無自覚だったが、大人になり、それが自分にどんな影響を与えたのか、そして自分にとって「沈没家族」とはなんだったのかを再確認しようとする試みではあるが、既定路線にはなっていて、セルフドキュメンタリーの弱みはある。だなやはり当時の証言やその複雑な状況を作り出した本人たる母親との関係性が非常に面白い。
シングルマザーの母の元夫とのやり取りが刺激的で、その「新しい家族」の発生とそれに対する罪悪感からか嫌悪を表明する姿が印象的だった。
