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世界に嫌われる男 ピーター・タッチェルのarchのレビュー・感想・評価

3.3
同性愛者差別なら人種差別、あらゆる差別に抗議デモを起こしてきたピーター・タッチェルの現在までを追うドキュメントタリー。公民権運動の時代から、70年代80年代の同性愛差別(イギリスにおいてセクション28や教会上層部の欺瞞)に向けてアグレッシブに行動してきた様子が当時の映像や写真を踏まえながら見せていく。アウティングを自覚しながら行っていき、私人逮捕といって路上で襲う様などかなり過激。
その分、彼もホモフォビアに襲われて頭と目に後遺症を抱えていて、常に行動と身体で、抵抗してきたのが克明に描かれる。
イギリスとゲイの二点でイアン・マッケランをインタビュアーに連れてくる無理やりっぷりにちょっと笑ってしまう訳だが、ちょっと気になったのは敢えてインタビューのセッティングシーンを混ぜている所。これは趣味でしかないけれど、不要なシーンな気がする。

そして舞台はロシアへ、チェチェンへの視座は向けられていく。今最もゲイにとっての地獄である国と言っても過言では無いその国に、ワールドカップの最中に目を向けさせるために赤の広場で、高らかにプーチン批判を行う。
60年代から現在に至るまで、一貫して闘ってきた男を、決して潔白だとは言いきれないし、多くの人に嫌われた事実も踏まえながら記録する。
あとは歴史が決めることだと、彼の「いま」行動する姿を称賛する姿勢が良かった
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