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レオンのbluetokyoのレビュー・感想・評価

レオン(1994年製作の映画)
4.0
2025年2月21日 13:40~ テレビ東京 吹替え
有名な作品なので、楽しみにしていたが、とりあえず、前半は退屈だ。そもそも、マチルダは、家族に虐待されていたし、まあ、それでも、家族だからなのか、あるいは、ほんの少ししか登場しない幼い弟のためなのか、殺し屋になって、家族を殺したヤツに報復したい、という動機が、あまりよくわからんのだよな。家族といるとき、マチルダは、あまり楽しいとか、快適、には見えない。
すげーつまんなそうに、マチルダが、廊下でタバコを吸っていると、後ろをレオンが通りかかる。顔に殴られたあざがあるので、レオンがマチルダに声をかける。マチルダは、不貞腐れててきとうに返事をする。
このシーンだよな。このシーンがすべて、という感じ。
いや、最初に声をかけたのは、マチルダなんだよな。
その次が、牛乳2パック買ってくるね、のシーン。ここでも、声をかけたのは、マチルダなんだ。マチルダが大人になっても辛いのか、とレオンに聞くと、レオンは、変わらない、と答える。

マチルダの言う大人というのは、なにを指しているのだろうか。世間一般の大人なのだろうか。レオン、殺人を趣味にしている麻薬捜査官、スタンスフィールド、麻薬の売人?の父親、暗殺を手配しているトニー、マチルダの周囲には、まともな大人はいない。まともなのは、強いてあげれば、寄宿舎の先生?ぐらいか。でも、肝心の先生は、マチルダを相手にしていないし。
でも、まともじゃない大人も、やっぱり、大人なんだよね。ここでいう大人というのは、簡単に言えば、生活が自立している人のことだ。

3回目は、ドアの覗き穴に映るマチルダ。このままだと、スタンスフィールド一味に殺されるという危険な状況。
レオンは、外界と接するときは、いつも、このドアの小さな覗き穴で接してきたのだ。孤独な殺し屋だからな。

マチルダは、レオンに、5万ドル渡して、一人殺すのに5000ドルだから、これで、スタンスフィールド一味を殺してくれ、と依頼する。

でも、運の悪いことに、暗殺稼業の客の一人が、スタンスフィールドだったんだな。これで身バレしてしまった。

生活が自立している人を大人だとすると、その大人には、まともでない大人とまともな大人があるわけだ。
どちらも生活は大変かもしれないが、まともでない大人の方がリスクは高いと思う。
レオンは、ドアの小さな覗き穴だけで外界に接することで、リスクを少なくして生き延びてきた。
それを可能にしてきたのは、レオンがコミュ障で、図体はでかく年齢もそれなりなのに、中身が子どもだったからだ。まともでない大人には、しばしば、そういう大人がいるけど、たいてい捻じ曲がってしまうので、中身の子どもの部分はどっかに行ってしまう。でも、レオンの中身の子どもは純粋だったんだな。観葉植物が友だちだと思えてしまうのもそのためだ。

だから、レオンとマチルダは同じ場所にいたのだろう。(完全版だと、話が違う感じだけど、それでも整合性は取れるかな)
レオンは、10歳ぐらいで、そこから成長していないように思える。読み書きができない。英語が読み書きできないだけではないと思うけどな。牛乳2パックというのも、お子さまな感じだし。あとマチルダ一家の二人の女性、マチルダの義母、義姉が成熟した美人だったりするので、普通の大人だったら、そっちの方が印象に残るはずなのだ。でも、レオンには、マチルダなんだよな。

マチルダは、そこを見抜いたに違いない。だから、レオンに声をかけた。だけど、まともじゃない大人は、リスクが高いのだ。悲しいまでにリスクが高い。ひょっとすると、すべてを敵に回すかもしれないほどリスクが高い。
その悲しい運命が、最後の壮絶な戦いのシーンで、とてもうまく表現されている。あまりの悲しさに、本当に息がつまるほどだ。
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