精神病院で知り合う秀丸、チュウさん、由紀の不思議な関係の物語。
舞台が精神病院で、死刑囚且つ死刑執行迄行われているのにこの病院でひっそり生きている秀丸に加え、18歳の由紀に起こる事象があまりにも悲惨と内容は重いのですが終始淡々と進む内容で、でもその絶妙なバランスが良い今作でした。
秀丸は何故死刑囚となったのか、その理由は分からないでもありません。でもどんな事があっても人を殺めてはなりません。どんな理由があっても・・・。でも・・・。由紀の為に取ったその行為は本当にダメなの？と考えてしまいました。秀丸の決断も由紀が受けてしまった事象もあまりにも辛いです。辛すぎる。
この2人に一見健常者に見えるチュウさんの絡みが何とも絶妙で、途中まではこの3人はこれから少しづつそして小さな幸せを掴んでいくのかなと思ったんですがその矢先・・・。辛いだけではない。あまりにも救われない・・・。
でも秀丸の行為に由紀だけは救われたのかもしれません。彼女が会釈した際見えた、以前秀丸にもらった赤いカチューシャを目にした瞬間一気に涙が溢れました。由紀の中で唯一頼れる大人は秀丸だけなんだと思いました。
由紀もチュウさんも前を向きだすラスト。そして秀丸も若い二人に心を打たれてか一所懸命立ち上がろうとする。その姿にも涙させられました。
鶴瓶さん、綾野剛さんが役にぴったりの好演でよかったのですが、その何倍も由紀を演じた小松菜奈さんが素晴らしかったです。
尚、山中崇さんと渋川清彦さん演じる二人の男が尋常ではないゲス野郎で胸糞でした。
