叡福寺清子

貞子の叡福寺清子のレビュー・感想・評価

貞子(2019年製作の映画)
3.0
すでにビデオテープ文化が希少となった現代.山村貞子の呪いに新しい様式を与えるのが本作の大きな課題でありました.「なるほどそう来たか!」と膝を打つような解答ではありませんでしたが,それなりの健闘はしたと存じます.少なくともタイトルすら記憶から消えていた「リング/リバース」ほど退屈はしなかったです.こんばんわ三遊亭呼延灼です.
全体としてはもう一歩踏み込んだ脚本だったらもしかしたら傑作たりえたかもしれないのに,と非常に残念な作品でありました.山村・祖父江・秋川の三家(特に秋川)の家族の有り様を三者三様で比較しながら,貞子を頂点とした捨てられた者達の怨念が描かれていれば.せめて秋川兄弟は施設にいた頃から何度も手を繋ぐ描写があればなぁと.だいたい秋川の両親がいなくなった描写がないのは,ダメでそ.
祖父江の娘は母親の初子に虐待された末に憎悪の権化となり,その負の意識が貞子を呼び寄せ,その後貞子の憑坐となってからはバンバン呪い殺して,どーせなら最後は貞子に体を奪われて次作を期待させる終わらせ方もあったのでは.
山村家にしてもアバンで志津子の透視実験の失敗で困窮,ゆえに貞子を捨て,怨みを抱いたまま成長した貞子は浄化されることなく怨霊化した,そして今祖父江の娘の憎しみに吸い寄せられ具現化・・・で貞子というタイトルがどーん!
こーゆーのどうですかね.ダメですか?