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すけばん刑事 ダーティ・マリー
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すけばん刑事 ダーティ・マリーの作品紹介

すけばん刑事 ダーティ・マリーのあらすじ

おんな、女、女だてらの刑事!殺人者を追って秘められた写真に女豹の血が騒ぐ……。刑事――一般では男の職業とされている。だがその常識を破り、この映画にはブルージーンにハジキとワッパという女デカが登場する。カメラ狂で、サディスティクな犯人を、ロマンポルノで磨かれた肢体を躍動させて追いつめる梢ひとみの女刑事。(C)1974 日活株式会社

すけばん刑事 ダーティ・マリーの監督

長谷部安春

すけばん刑事 ダーティ・マリーの出演者

梢ひとみ

坂本長利

宮下順子

山科ゆり

河原崎次郎

原題
製作年
1974年
製作国
日本
上映時間
80分

『すけばん刑事 ダーティ・マリー』に投稿された感想・評価

自己流を貫いているクールな女性捜査官(梢ひとみ)が、盗撮行為を利用した性犯罪者(浜口竜哉)の策略に嵌められてしまう。ウーマンリブを抱える婦警のリベンジ劇を描いている、クライム・サスペンス。便宜上、ロマンポルノに入れられているが、一般作品として公開されている。

犯人が実践しているのは、他人の情事を盗撮しておいてから、その被写体の女性に肉体関係を迫るという手口。捜査側・犯人側の双方の人間模様が、乾いたタッチのハードボイルド路線で描かれる。

梢ひとみのベルボトムで決めたプロポーションが素晴らしく、彼女の佇まいに関心が高まる。犯人との肉弾戦で簡単に負けてしまうところが気掛かりだけども、転落からの復讐劇という王道パターンを楽しむことができる。

ロマンポルノのオールスターがサスペンス劇場に挑戦するという、「企画もの」のつもりで鑑賞するのが最良。「田中真理(ゆえにダーティ・マリー)→杉本美樹(東映)→梢ひとみ」という紆余曲折を経て、主演が決定しているところも興味深い。
これはまぁ干されるわ、という長谷部さんなりのロマンポルノ世相への意義申し立てであり、恣意的な警察権力への抗議が盛り込まれた一作。
皆さんタイトルでお分かりの元ネタの物語を換骨奪胎して、密会盗撮恐喝犯の陰湿な犯人像を作り上げ、その過程での犯罪成立の相対性(それを訴えたものから事件となる)を際立たせて、その中で女刑事マリーの孤立を梢ひとみが見事体現していく。

殆どあぶ刑事の鷹山刑事なままの女刑事マリーのキャラクター、相棒の河原崎次郎の二人は背も高くファッショナブルで、歩き姿も画になる。
山科ゆり、宮下順子が女性性の戯画化としての役割でちょい役出演。殆ど出オチの坂本長利が楽しい。渋谷を舞台にしていて、今はなき桜丘の高速下の歩道橋など懐かしいロケーションも見所。

一世一代の熱演を見せる犯人役・浜口竜哉が作品の不気味さを上げていく。この犯人造形は以降の長谷部さんのロマンポルノ男性のプロトタイプと言える。女を襲いながら恐れ、そして強い女によって葬られる。一方で相棒とは決して寝ないマリーに長谷部ハードボイルドを見る。

きっちり最後の銃撃戦対決へと引かれた脚本の動線は流石という感じ。何と言うか、アイテムゲット感が凄いのよ。
面白いのは、女である主人公マリーだけ本名がなく、役名から「マリー」な点。彼女は男性社会で孤独に戦う女性の承知なのだ。抜群のスタイルと長いロングヘア、粋なファッションにグラサンで決めた梢ひとみがクールネスで最高。

五條博、益富益孝に高橋明(ナカさん辺りの役)、庄司三郎さんも出てます。清水国雄、影山英俊も。近藤課長ほど理解無い定型な上司に長弘。この人も台詞多かったなぁ。

二年後に長谷部さんは「犯す!」を撮る事になる。

※公開時一般公開だったとの指摘がありましたので、当該箇所の記述を削除しました。ご容赦。
深緑
3.2
はっきりと話はつまらんかったけど、そこはかとないお洒落感に一瞬でも「ビバ! 70'S」とはなる。

コメディリリーフ的扱いで登場し、作中唯一ノーダメージで済んだ「性にやたら開放的な夫婦」の存在に搾取する側(男)される側(女)の一方通行を打破するヒントを見たりもするっていう。