アメリカの映画監督は、どうしたってヒッチコックを意識しないではいられないんだな、ということをあらためて実感させられる一本。このシチェーションで『裏窓』を想起しない映画ファンはいない。84年のブライアン・デ・パルマの『ボディ・ダブル』にも重なる仕立て。このたびのエイミー・アダムス扮する主人公を制限するものは、ある重大な体験に発した「広場恐怖症」。あっさりドアを開けて人を招き入れたりするので設定に切迫感がないのだが、どう作り上げたのかなという興味で観通した。ジュリアン・ムーア、ゲイリー・オールドマン、ブライアン・タイリー・ヘンリー、アンソニー・マッキーと共演が豪華で期待した分、満腹感は得られなかった。残念。