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フォードvsフェラーリのbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

こんなに胸糞映画だとは思わなかった。腹立たしくてやりきれない気持ちでいっぱいで、ムカムカと気分が悪い。

映画としての出来は文句無しに素晴らしい。無駄の無い構成と迫力のレースシーンは見事。クリスチャン・ベールは本当にカメレオン俳優だなぁ。映画によって、金持ちにも貧乏にも経営者にも作業員にも真面目にも捻くれ者にも見える。今回も圧倒的な存在感を放っており、素晴らしかった。マット・デイモンは本当いくつになっても若々しい。子役も最高に良かった。妻関連のシーンはやや冗長なので、もう少し削っても良かった気はする。社長が実際にレーシングカーに乗せられて、恐怖と感動で泣いちゃうシーンは大好き。

実話なのだから話にケチをつける気は毛頭ないのだが、ただやはり自分は観終わった後ですごく嫌な気持ちになった。時間が150分超と非常に長かっただけに、なんだかすごく虚しさを覚えてしまった。せめてレース後の彼の残りの人生をもうちょっと見せてくれれば良かったのかもしれない。レース本番まであれだけ時間をかけておいて、本番は胸糞な結果に終わり、直後に関係ない事故で死ぬというのはさすがにきつい。いやまぁ史実だからしょうがないのだが。ただ実際には指示を出した副社長はケンが2位になってしまうことを知らなくて「なんたこったこんなはずじゃなかった」と悔やんだという話もあり、あそこまで悪意に満ちた人ではなかったよう。だとしたらあんなに露骨な悪役に仕立て上げないでほしかった。エンタメにするために実際の人物に過度なキャラ付けをするのはあまり好きではない。誰の悪意も働いていないのに2位になってしまった、という話のほうが純粋に切なくて好みだった。ちなみに主人公がフェラーリ陣営に対して行う、ストップウォッチを盗んだりナットを落としたりする地味な嫌がらせにもすごいイライラした。あれもたぶん脚色だろう。正々堂々戦えや。

あとフォード側しか描いていないのにこのタイトルって違和感しか無いのだが、フェラーリはこれ納得できるのかね?
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