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ゴーストランドの惨劇のswaptvのネタバレレビュー・内容・結末

ゴーストランドの惨劇(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

パスカル・ロジェ監督の新作。全然チェックしてなかったので公開してから知るという体たらく。『トールマン』から大分間隔空いたのでいやが応にも期待が高まりつつ鑑賞。

前作は大分スリラー寄りになっていたので、方向性としてはそっちなのかと思っていたら、もう暴力性全開で来たので恐ろしくて恐ろしくて。ジャック・ケッチャムが頭をよぎる。脚本はさすがの一言。夢オチなんていう使い古された手法を新しい角度から見せてくれた。ラブクラフトの引用から始まるのもオタク心をくすぐる。まさかの登場シーンも笑った。あと、ちょっと該当シーンが記憶に薄いので判断つかないんだけど、ベスが自作を音読していた時最後に尿についての描写があったけど、ベスの失禁の伏線になってたりしたのだろうか。現実と空想が分かった上で二度目の鑑賞も絶対面白いだろうなと思う。

ミスリードを誘う展開や(個人的に姉と母を疑って見ていた)、姉妹の性格の対比を綺麗にストーリーに絡めて姉妹愛で収束したり、姉妹の立場が一気に逆転するあたりロジェらしさが炸裂しており、過去作が好きな人はたまらないと思うし、驚かす演出だったり滑稽で笑えたり手に汗握るシーンの連続など、エンタテインメント精神に溢れてて新境地を感じた。

鑑賞中ずっと、これはロジェ版『悪魔のいけにえ』なのだろうと思っていたけど、パンフレット読んだら監督がトビー・フーパーに触れてて大納得。作中で「ロブ・ゾンビの家みたい」とあるのも引っ掛けてあって面白い。朝日の逃亡劇とか知っている人ならホッとする場面なのに、やっぱりそうは問屋がおろさないロジェ脚本。ベスと同じく絶望感をひたすら味わう観客。

ただもうこれは好みの問題だけど、とにかく見事にピースがハマりすぎてて逆に物足りないというか、振り切れているカルト作が特に好きな自分にしてみたら、全部終わってみるとオールラウンダーのような優秀さにあっさりさを感じてしまう所はあった。けど傑作なのは間違いなし。最高に怖いし面白い。
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