YukiSano

DUNE/デューン 砂の惑星のYukiSanoのレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
3.9
SFの古典で破格の映像体験を味わえるウルトラ超大作映画。

スターウォーズやナウシカ、というか全てのSF作品の基礎を持っている。ディヴッド・リンチとアレハンドロ・ホドロフスキーが果敢に挑戦して失敗してきた伝説の小説の三度目?の挑戦。

まず音響の魔術師だと確信しているビルヌーヴ監督なだけあって、サウンドの凄まじさが突き抜けている。

本当はIMAXで観たかったのだが諸事情でドルビーシネマで観た。これが思いの外、大成功で64個もあるスピーカーが驚異的に世界観を後押ししてくれて没入出来た。砂虫が出てくるところなどは劇場全体が揺れ動き、砂の惑星が音響で立体化されていた。自分の周りに砂虫が動き回る感動は凄まじい。とにかく映像も音響もハッタリが効きまくっている。

しかし、圧倒的な映像を見せる代わりに物語は異様にシンプルにされ、凄まじい映像が出ない会話シーンでは極端に眠くなった。まぁドゥニさんはハリウッドでも珍しい低体温監督なので今までよく大作撮れてたな、と思ってきたが今回は敢えてドラマ部分を排除してるかのようだった。

ドゥニ印の、血の呪い、家父長制度の弊害と崩壊、母の複雑な愛情、己のルーツを辿る、など驚くほどしっかり入っている。だけど、それを陳腐化スレスレまで単純化させて今回は本当に体感させる映画として追及している。

故に、超大作なのに低体温で哲学的という、何だがテレンス・マリックがスターウォーズを撮っているような不思議な眠たさと驚異の自然が入り交じって、実は珍味だと感じてきた。リンチとホドロフスキーの後だとマトモにしか見えないが、ハリウッド映画には見えない味わいがある。

フォースのような主人公の力を、もっと宮崎駿や萩尾望都のように超自然的に追及する後編であれば、傑作シリーズとして名を残す可能性あり。

伏線がゼンデイヤ登場以外全く回収されていないので、まだ判断せず前後編合わせた時にこの作品の真価は分かる気がする。

それでも、大画面、大音響で見る価値は最高級。別の星へ旅することができるだろう。是非とも特別料金払ってでも究極の劇場体験をしてほしい。これを家のテレビ画面で見ると本当に退屈な作品になると思う。

IMAXかドルビーシネマを強く推奨します。
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