外は雨

グレース・オブ・ゴッド 告発の時の外は雨のレビュー・感想・評価

3.9
カトリック教会の聖職者による児童への性的虐待の長きに渡る犯罪と隠蔽の体質への告発。3人の被害者の視点から描く。地域に深く根差した信仰と教会への信頼。事実を知った上でも動こうとしないその内の体質。そして告発する側の家族について。

序盤の話し合いの後、立会人とアレクサンドルとプレナ神父とで手を繋がせて一緒に祈りを捧げるシーンには、形しかないその儀式による心の寄り添いのなさに心底ゾッとした。

組織によって傷つけられたとしてもその信仰を持っていられるのか?という問い。その信仰の自らの罪の赦しとは一体なんなのか。

この映画の事件自体は被告が罪を認めているとはいえ今も係争中の事案だけれど、教会の改革と自浄が行われる事が望まれる。それは各国で。

オゾンは様々な映画を撮っているけどこの作品はこれまでの作品とは異質な感じ。事実に基づいている事もあるので。

ほっとしたのは、性的指向(ここではペドフィリア)と犯罪は分けるべきだと登場人物に語らせているとこ。ほんの一言ではあるけどこれは表現者として守るべき視点だと思う。そこで裁かれるべきは犯罪とそれを知った上で放置した組織で、誰かの内心の嗜好ではない。これは最近映画制作関係でも混同し規制等をしがちな部分。流石はオゾンだなと思った。

同様の問題の映画だと「スポットライト 正規のスクープ」とかあるね。
外は雨

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