距離感を保っていては届かず、境界を越えて親密になろうとしても苦しめる。
9歳の少女ベニーを制御不能な怒りや拒絶から救い出そうとする人々の試行錯誤と、そんな仕組みはこの社会にそもそも存在するのか…という失意。
その繰り返しの中で、それでも叫びを受け止め考える事を突き付けてくる凄い映画。
傑作!
あらゆる刺激が攻撃性へと繋がってしまうベニーのトラウマを理解し、寄り添おうとする通学付添人ミヒャ、二人だけの森での生活に〝兆し〟が見えながらも、それが新たな問題を引き起こす…
解決策が見つからないまま限界に達してしまう緊張感、にも関わらずベニーの叫びは鮮明さを増していく遣る瀬なさ。
苦しかった。
思い通りにならないと即爆発し、何をし出すか分からないベニーに恐怖を覚えながらも、小さな身体にこれ程までの混乱を抱えてる事が胸に迫ってきたし、興奮状態を離れても様々な揺らぎを表情に滲ませる彼女から目が離せなかった。
観ていて心配になる程のヘレナ・ゼンゲルちゃんの演技が本当に凄過ぎました!