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在りし日の歌のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

在りし日の歌(2019年製作の映画)
3.9
1980年代から2000年代までの中国を舞台に、"一人っ子政策"の中、一人息子を亡くした夫婦が深い悲しみを抱きながら年を重ねていく姿を、親しかったもう1つの家族との関係を通して、時代をフラッシュ・バックさせながら映し出したヒューマン・ドラマの力作。
監督はワン・シャオシュアイ。
原題:地久天長(英、 So Long, My Son)

国有企業の工場に勤めるリウ・ヤオジュン(ワン・ジンチュン)とワン・リーユン(ヨン・メイ)夫婦は、ひとり息子シン/ シンシンと地方都市で暮らしていた。
同じ工場で働くシェン・インミン(シュー・チョン)とリー・ハイイエン(アイ・リーヤー)夫婦には同じ年の同じ日に生まれた息子ハオ/ ハオハオがいて、2つの家族は1家族の契りを結び、親密に付き合っていた。
ある日、ハオハオは川(貯水池)にシンシンを誘うが、泳げないシンシンは溺死する。
シンシンを亡くした母リーユンは、“一人っ子政策”に違反する第二子を身ごもった時、ハイイエンに中絶手術を無理強いさせられ、子どもを産めない身体になっていた。
深い悲しみを抱えたヤオジュンとリーユンは住み慣れた故郷を捨て、親しい人たちと別れる。知る人のいない州(福建省)に移転し、男の子を養子にして「シンシン」と名付けて育てるが、子どもは不良仲間とつるむようにり、親と対立し家出し、音信不通になる。
一方、インミンの妹、きれいなモーリー(チー・シー)は、ヤオジュンの子を宿したまま、アメリカに渡る。
時は流れ、インミンとハイイエン夫婦は不動産で大金を稼ぎ、子どもハオハオは医者になるが、3人とも心にしこりを残したままだった。
疎遠になっていたふたつの家族は、病気で余命幾ばくとなくなったハイイエンの希望で、20年ぶりに再会する……。

「今日、"本当のお前"を返してやる」

「一言でも許さん。分かったな。生きてる間は胸にしまっておけ」

原題の「地久天長」は、日本では「蛍の光」として知られるスコットランド民謡「オールド・ラング・サイン(Auld Lang Syne)」の中国語タイトル。意味は「友情はとこしえに」で作品の基調を示しています。
主役の夫婦を演じたワン・ジンチュンとヨン・メイの抑えた演技が光る。
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