りっく

パドルトンのりっくのレビュー・感想・評価

パドルトン(2019年製作の映画)
3.4
ガンで余命宣告を受けた階下の親友の安楽死を幇助することになる男とのバディもの。

巨大な壁に向けてテニスボールを打ち、跳ね返った球がドラム缶に入れば成功というスポーツや、誰にも知られていないカンフー映画を繰り返し観る等、ふたりだけの世界が繰り広げられる。そこに第三者が入る余地はないため、いい意味でも悪い意味でも限定的な世界で物語が進んでいく。

図柄が絞首刑台にも見えるTシャツ、死んだ夫の霊を感じる女性など、基本的にはウェルメイドなコメディ調ではあるが、仄かに死の匂いが漂っているのも特徴。

それを生き絶えるまで逃げずに捉えるショット、そして彼の代わりに階下に引っ越してきた家族にふたりだけのスポーツだったパドルトンのルールを教えようとするラストで、僅かだが主人公の心の扉が開くことで拡がりの兆しを見せる。
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