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ワン・セカンド 永遠の24フレームのsonozyのレビュー・感想・評価

4.0
2020年のチャン・イーモウ監督作。
離れ離れとなった娘の姿が1秒だけ映っているというフィルムを探す男。
ある理由でフィルムが必要な孤児の少女。
映画の上映を待つ村人から“Mr.Film”と慕われる映写技師。
文化大革命まっただなかの1969年を舞台に繰り広げられるヒューマン・ドラマ。

強制労働所送りになり、8歳の娘と離れ離れとなってしまった男(チャン・イー)は、ニュース映画「22号」に14歳となった娘が1秒間映っていると知らされ強制労働所を脱出。そのフィルムの行方を追い、ある村の小さな映画館にたどり着く。

既に上映は終わっており、バイクに積まれたフィルム缶。
すると、少年のような子が現れ、フィルム缶を一つ盗み逃げる。
男が追い、フィルム缶を取り戻すが、それは『英雄儿女 / Heroic sons and daughters(1964)』という映画のフィルムだった。

少年のようなその子は、孤児の少女リウ(リウ・ハオツン)。
ある理由で映画のフィルムが必要な彼女は執拗に男につきまとう。

一方、映画が来るのを待ち望んでいた村人たちに大歓迎される“Mr.Film”と呼ばれる映写技師のファン(ファン・ウェイ)は、そのフィルムが届くのを待っていた。

ニュース映画「22号」の行方は?
男はわずか1秒間という娘の映像を観ることが出来るのか?

チャン・イーモウ監督は、青春時代の思い出をつなぎ合わせた、自身のフィルモグラフィーの中でも最もパーソナルかつ重要な作品であり、映画人として「映画へのラブレターのような作品だ」と語っているという本作。

弟と二人で暮らす少年のような孤児の姿から愛らしい少女の姿の変化を魅せるリウ・ハオツンは高校生の時にオーディションで発掘されたという新星。
逃亡者の男を演じたチャン・イーとのコンビネーションが素晴らしい。

Mr.Filmと村人たちの映画フィルムへの熱情。
待望の映画を夢中で観る人々。
娘を想う男、弟そして父を想うリウ。
印象的な砂漠のシーン。
沁みました。
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