アキラナウェイ

屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

3.6
「女は二度決断する」「50年後のボクたちは」のファティ・アキン監督。

以前から興味を持ちつつも、どうしてもこのフリッツ・ホンカの、強烈に生理的嫌悪感を煽るヴィジュアルになかなか手が出せなかった作品。

1970年代。ドイツ、ハンブルク。安アパートの屋根裏部屋に住むフリッツ・ホンカ(ヨナス・ダスラー)は、寂しい男と女が集うバー"ゴールデン・グローブ"の末席で酒を飲む—— 。

70年から75年に渡って4人の娼婦を殺害した実在の連続殺人鬼の日常に迫る。

猫背で不潔で暴力的。
唯ならぬ不穏な空気。

本能が…

_人人人人人人人人人人人_
>  こいつはヤバい!! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

…と知らせるレベル。

大抵の女性にはその不細工な顔をバカにされ相手にされない彼が連れ込むのは、決まって酒に溺れた中年か太った女性だ。

彼に酒を奢られ気を良くしたのかも知れないが、なんで奴の部屋にほいほいついていくかなぁ…。

壁にはヌード写真の切り抜きが所狭しと貼られ、訪問者は口々に「臭い」と顔を歪める。死臭に満ちたその部屋に。

主演は「僕たちは希望という名の列車に乗った」のヨナス・ダスラー。弱冠22歳の若手実力派俳優は、特殊メイクを施され、実年齢より20歳程歳上の忌まわしきホンカの姿へと、見事な変貌を見せる。

下半身露出シーンも多く、ボカシも無し。

コレは観る人を選びそう。

それにしても、人を殺す度にあれだけドタバタと騒がしく、被害者も悲鳴を上げるもんだから、階下の住人ももっと早くに気付きそうなものだけど。

屋根から蛆虫。
スープにポタポタ落ちてくる蛆虫。
嗚呼…虫唾が走るとはまさにこの事。

この男が恐ろしいのは、至って普通だという事。いや、勿論普通の一般男性に比べれば明らかにおかしいけれど、それでも普通の日常に溶け込んでいるという事。

危険はいつでも、日常のすぐ側にある。

決して好きな作品ではないけど、キモさが振り切れているし、ヨナス・ダスラーの特殊メイクとその演技を評してこのスコア。