このレビューはネタバレを含みます
【背徳の世界へようこそ】
1970年からの約5年間で、少なくとも4人の女性を殺害することになったFritz Honkaという男。
Honka行きつけのバー “The Golden Glove” は、まさに場末の酒場という雰囲気。他に行くあてのない、貧しく老いた常連客が目立つ。
くる日くる日も酒を求め、酒に飲まれて現実逃避。快楽だけを追求し、臭いものには蓋をしてやり過ごす人生の先にあるのは、天からの救いも届かない堕落と頽廃の世界。
この酒場はまるでその玄関口。
彼らを助けようと修道女や救世軍が登場しますので、多少キリスト教もテーマに入っていそうです。優先すべきは信仰というより治療だろという感じではあります。
酔うと凶暴になって性欲に歯止めが効かなくなる Honka。彼の根本にあるのは支配欲と女性蔑視であり、女性を性の道具としてしか見ておらず、思い通りにならないと容赦なく暴力を振るいます。
醜い彼と老娼婦達が繰り広げる格闘は…、とにかく体当たりです。彼はもちろん、おばちゃん達の覚悟もすごい…(°_°)。
Honka役は『僕たちは希望という名の列車に乗った』でも一際目立つ演技をしていました。本作の主人公も、誰もが引き受ける役柄ではないと考えるとすごいですね。
ただ、特殊メイクを施した顔はともかく、脚なんかはやはり若々しくて、弟役の俳優や娼婦役と年齢差を隠しきれていない所がありました。
ゲテモノ料理と呼んだら失礼かも知れませんが、好んで食べる方なら楽しめるのかも(°_°)。劇中ドイツ人から見たギリシャ料理も若干そういう扱いでした。
本作から得られる教訓は…
「独身男性の自宅がヤバイ壁紙&/or超絶汚便所だったら即行逃げろ」
「サボらず頑張って進級しよう」
「飲酒は控えめに」
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Honkaの父親もアル中でした。
犯行は、Honkaが35歳から40歳までの期間。娼婦達は42歳から57歳でした。
斜視と鼻の形状は、1956年に交通事故に遭ったことによる外傷性とのこと。その前後では別々の女性との間に2人息子が生まれています。シラフならモテたのか??しかしいずれの関係も壊れており、このDVやモラハラ気質なら当然という気がします。
1993年に出所。1998年に亡くなるまで偽名で晩年を過ごしました。