5年ぶりぐらいに。久々に通しで映画を観る余白があって嬉しかった
個人的に思い入れがある。映画館で観た
今は、内容をほとんど忘れていた。
意外とフラットに、変わった目線で楽しめた。
ビートルズを知る人が消えた世界で、売れないシンガーだけがそれを覚えている。彼はビートルズの曲を思い出し、自分の曲として発表していく。またたく間に世界中で売れてスターダムを駆け上がる。売れていく自分と、売れているがゆえの孤独、葛藤、疎外感。
ストーリーはそんな感じ。
いま観ると映像が良いなあ⋯⋯カットがお洒落だし明るいので気分が良くなる。
Back in the USSRのシーン、モスクワでのライブシーン、歌詞にウクライナ、そのあとLA⋯⋯当時は何の気無しに眺めていた。
この5年いろいろなことが変わっていった。
思想は抜きにして、2019年当時には何気なく眺めていたシーンが重く響く。
セリフ回しも気が利いているし、笑える。
最近真面目なものばかりになっていたのでだいぶ笑えた。
あと、驚いたのは、ビートルズの曲の良さ。メロディはもちろんなんだけど、歌詞が良い。シンプルで誰にでもわかる言葉だけれど、余白が深くて誰しもを招き入れてくれる包容力がある。Help!
ただ、登場人物の中にいい奴すぎる奴がいる。報われろ。
「普通がいいよ」
観ている時は一瞬、若いころの向こう見ずな情熱が戻ってくるようで高揚した。
と同時に、それが過去であり戻ってこないことも否応なくわかって、どこかでものすごく冷静になったりもした。そのどちらも久しぶりの心の揺らぎで、ああ生きてるなあと感じた。心が凍り切るとつまらないので、たまにはこうやって陰に陽に心を震わせてみたいものだ。落ち着いてしまったけれど、やっぱり音楽っていいね!またやりたいな。ビートルズもオアシスも、久々に聴いたらシンプルに染み渡った⋯⋯
同じ形の情熱は戻ってこないけれど、新しい形でまた、情熱と出会い直せたら嬉しいものだ。高揚してもすぐに定位置に戻るような日々だけれども、やはり心の震えはゼロにはならないだろうし、なる必要もないと、この映画を観て思い出した。冷えていく部分は風景の見え方を変えていくけれど、核の部分は思いのほか変わらず、動かないものだと気づいた