セガール幹事長代理

殺人鬼を飼う女のセガール幹事長代理のレビュー・感想・評価

殺人鬼を飼う女(2019年製作の映画)
2.5
酒好きを気取るおっさんが薦める飲み屋というのは決まって小汚いものです。
これはおっさんの思考回路が、スタバでマックブックを開く大学生のそれと寸分違わず構成されていることを示し、『他人と違う俺かっこいい』を具現化したものだと言えるでしょう。
本作はそんな『ホラー映画は好きだけどミッドサマー好きっていうとミーハーっぽくてダサい』っていうわがままな層に向けた作品と言えるのではないでしょうか。

多重人格者である主人公の苦悩を描く物語ですが、ネグレクト、レイプ、同性愛、ストーカー、アル依といった様々なテーマが散りばめられており、基本的にエロいんだけどなんかよくわからんが社会派っぽい、そんな痒いところに手が届く映画に仕上がっていると思います。

起承転結の『起』と『承』の途中ぐらいまでかなり面白く、4つの人格であるノーマル、レズ、ビッチ、ロリをすべて違う女優が演じ、友達と飲んでいたら何人か女の子を連れてきてくれた、みたいなお得感がございます。
同じ下着を身につけていても女性によって見え方が全然違う、というのも一つ大きな勉強となりました。
30オーバーの女性がセーラー服を着てデズニーに行くことに対し文句をいう男性は、ここはひとつ落ち着いて、本作をご覧になって頂きたい。
女子高生が身に付けなくても、作り物っぽくてアレはアレでいいものです。
物事を斜めから見つめると、時に新たな喜びが生まれるものです。

これは思わぬ拾い物をしたと口角下がりっぱなしでしたが、物語中盤から制作陣が考えることを止めた為か、発情したおっさんとおばさんと兄ちゃんの画を交互に見せつけられ、飽きとの戦いとなります。
その後は特に感情移入する暇もなく、衣類と様々な体液が飛び交いエンドロールを迎え完全に置いてけぼりを喰らいました。

多重人格映画『スプリット』でハゲを見飽きた人におすすめ。