ひーちゃん

アンダー・ユア・ベッドのひーちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

アンダー・ユア・ベッド(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

三井くんは愛されたかったんだ。

30年間いるかいないかわからない、幽霊みたいな自分。そんな人生の中でたった一度だけ自分の名前を呼んで、一緒にコーヒーを飲んでくれた千尋ちゃん。

彼女にもう一度名前を呼んでほしい。自分がここにいることを知ってほしい。
だけど、三井くんにはそのやり方がわからなかった。倫理観を捻じ曲げた方法でしか彼女のそばにいられなかった。だって、誰も愛してなんてくれなかったから。なんて可哀想で愛おしい人なんだろう!!!そういう人にわたしはめっぽう弱い。

終盤、スタンガン片手にDV夫を殺す気満々で千尋ちゃん宅に乗り込んだものの、恐怖で動けなかった情けなさ。絶望した。もう失うものなんて何にもないってのに、何を今更恐がっているんだ。千尋ちゃんの写真の前で何度も「ごめんなさい」と泣きじゃくった三井くんに、ああこれが現実かよ。そうだ、君はいつまでも11年前の思い出と共にのうのうと、幽霊のように生きていけ。と吐き捨てたくなった。そう思った矢先に、あのラスト。千尋ちゃんの手をどけて、DV夫を絞め殺す。最高だ。三井くん。君は今どのアベンジャーズよりもヒーローだ。自己犠牲愛の頂点を見た気分。

最後に、三井くん、と呼ばれて振り返ったあの表情が忘れられない。全部が報われたね。よかったね。そこには確かに自分がいたんだ。こっちも涙が止まりませんよ。

歪かもしれない。
気持ち悪いかもしれない。
でもこんな大きな愛、感動するしかないじゃないか。