シミステツ

サイダーのように言葉が湧き上がるのシミステツのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

コミュニケーションが苦手なチェリーと快活だけど見た目にコンプレックスがあるスマイル。俳句が好きというのも歯の矯正というのも令和っぽい、相互補完系ボーイミーツガール。

カラフルな令和ポップのような世界観がかわいいし、実写でも上手くいけそうな題材にアニメとしての理由がきちんと付与された印象。

ショッピングモールで出会い、お互いのスマホを取り違えたことから知り合うふたり。

「声に出してはじめて伝わる情景もある」

「かわいいと思う!チェリーくんの声!」

ふたりの距離を縮めるきっかけがSNSでのいいね、相互フォロー。驚きと照れた様子も含めてイマの青春的で良い。

チェリーがバイト先で出会った老人フジヤマが失くしてしまったレコード。それを探している理由に触れ、ふたりはレコード探しに出かける。

「さよならは言わぬものなりさくら舞う」

エモの要素はキャラクターの距離(対照性や凸凹)、ときの距離(古い・新しい)、本音との距離(本音と建前、言えること・言えないこと)、物理的距離(離縁、引越し)。ショッピングモールはレコードのプレス工場だったという背景もエモの広がりを生んでいい。風景に俳句を忍ばせるのもMV的で趣がある試み。

「やまざくら かくしたその葉 ぼくはすき」

終盤にかけては音楽含めてもう少しテンポを上げて、切り替えもポンポンいくとうまく乗っていく気がした。レコード見つけるまでのところで間延びして飽きそうになったし、割っちゃうんかいというのと、時計がレコードだったの途中で分かっちゃって。

「花火、一緒に見に行こ」

「感情や 少年海より 上がりけり」

「夕暮れの フライングめく 夏灯」

「サイダーの ように言葉が 湧き上がる」

「やまざくら かわいいその葉 ぼくはすき」

「やまざくら スマイルのこと ぼくはすき」
「きみがすきーーーー!」
からのスマイルの笑顔。うるっときました。