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トールキン 旅のはじまりのMISSATTOのレビュー・感想・評価

トールキン 旅のはじまり(2019年製作の映画)
3.5
「ロード・オブ・ザ・リングス」「ホビット」の原作者JRRトールキンの話。
冒頭のシーンの舞台が【ソンヌ】と出て、一気に絶望感が広がった。
目の前に広がっている映像は明らかに第一次世界大戦。しかもトールキンがいる場所はソンヌ。なんの希望もない場所。地獄としか言えない場所。

映画は、第一次世界大戦の前線にいるトールキンが悲惨な現実を目の当たりにしながら、子ども時代へと回想していくような進み方。
説明はないが、彼の描いた物語を思い起こさせる箇所が散りばめられている。

この人物とこの人物の一部ずつがサムワイズ・ギャムジーに、この二人はメリーとピピン、今のこのトールキンはフロド、このシーンのトールキンはアラゴルン、この人はアルウェン、神父の一部がガンダルフに?、教授にはビルボ的でもありガンダルフのようでもあり、ラダガストっぽい味もある…。
風景も、シャイアのような場所からアイゼンガルドやモルグル、闇の森を思い起こさせる場所まで…。

邦訳でしか読んでいないけど、彼の描いたファンタジー小説が好きで、そこに登場するのは、体は小さくても、どんな姿をしてどんな文化の元にいる民族でも、物語を紡ぐのは全て【大人】たち。
子どもが前線に駆り出され悪人(大人)と戦わされるファンタジーと一線を画す、子どもが読んでも大人が読んでも納得できる、リアルな世界がそこにはある。

それが彼の実体験と、言葉とそれを育む文化の研究と創作が結びついて描かれたのかと思うと、畏敬の念が湧いてくる。
もう何度目か分からないけど「指輪物語」を読んでみようと思った。
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