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スキャンダルのnamのレビュー・感想・評価

スキャンダル(2019年製作の映画)
3.9
「暴走する権力に立ち向かう抑圧されてきた女性たち」

FOXニュースの事などは鑑賞前には予備知識などほとんどなかつだですが、巨大な権力を持った腐敗した男性社会VS抑圧されてきた女性たちという構図はとても分かりやすく楽しめ、鑑賞後に周辺事情を知ってより作品の理解が深まりました。

最大のニュースメディアで共和党を支持するために作られたようなFOXニュースは、メディア戦略コンサルタで大統領を作り上げる程の影響力を持ったチャンネルで、その社長という絵に描いたような古狸親父が過去に蓄積してきたセクハラを訴えられるストーリーです。

それに立ち向かうのが三者三様の女性達のそれぞれの立場からの闘いで並行して描いているのが脚本的とても面白かったです。
グレッチェン(ニコール・キッドマン)はベテランで過去セクハラ被害をクビになったタイミングで外側から第1に声を上げる。
メーガン(シャーリーズ・セロン)はFOXニュース社内にいるため内部を崩壊しかねないリスクや自身のキャリアへの影響と板挟みで声を上げづらい。
ケイラ(マーゴット・ロビー)はもっとも若く、古狸の被害者として目に見える形分かりやすく示す
という役割があってその多面的な側面で描く事によって1つの事件を浮かび上がられせているのが見事に感じました。

予告でもあったエレベーターに3人の女性達が一同に介する唯一のシーンは緊張感と高揚感があって何とも好きなシーンですね。

被害者としてセクハラされる戸惑いと上に行きたい欲望との葛藤する、さらにはそれを黙り続け働くという複雑な表情のマーゴットロビーの演技はオスカー助演ノミネートも納得の素晴らしさでした。

女性と男性で受け取り方や共感度合いも違う気がしますが、腐った権力に立ち上がる構図は溜飲が下がりますし、改めてセクハラは許せないなと再認識させられます。
バランスよくできた作品です。
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