eye

阿吽のeyeのネタバレレビュー・内容・結末

阿吽(2018年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

"阿吽"

東京の闇と
8mm フィルム モノクロ
の掛け合わせに心を掴まれる

都内電力会社に勤める岩田寛治は
会社にかかってきた電話口から

「人殺し」という声を聞く

以降 精神を病んでいき

"俺は呪われている"

という意識が募る

一方で
何に "呪われている" のか

それは観衆に委ねられる

ネガティブな
精神の肥大化は止まらず
見えない放射能も蔓延してる

自己中毒にとどまりはなく
そして精神を病んでいき

やがて崩壊を見せる

冒頭 心の光は灯ってる

物語は次第にドス黒い雰囲気と
映画同様 暗闇に包まれていく

破壊されて再生する都市に
死の風が吹き続ける

影の肥大化もとどまらず
岩田寛治を飲み込んでいく

日常の延長に死が折り重なり
恐怖感が一方的に上り詰める

現実と向き合えなくなり
愛情の欠乏感もただただ広がる

劇中には 不可思議なシーンがある

まず志保の親友淳子を殺害した後
志保の前に現れる岩田寛治

彼は普通の男性体型なはずなのに
同じ人間とは思えないくらい

身体が"妙に大きくみえる"

明らかに存在感が増している

本来なら"希望"を見つけるはずが
見つけたのは

"圧倒的な暴力と殺意"

目に見えない"何か"が感染して
それは感染した者には
可視化できるけど

それを掴んで
開かれた手のひらには

何も見えないし 映ってない

岩田寛治の彼女である志保の
妙な母なる包容力を感じつつ

突き放してしまう残酷さもある

全セリフをアフレコするって
斬新だし 今どき ない

演者に課せられる困難さも
たくさんあっただろうに

ラスト

しっかり不幸になる形で
締めくくられる

物語は筋を通すわけだけど

無慈悲・無感情・虚無に
取り憑かれてしまった男は
重苦しさを纏い

部屋の壁に影が映し出される

その影は 暗闇の奥は
どうなっているのか
もっと知りたくなる

そんな作品
eye

eye