久々に身震い級の奴。
159分ながら、ユーモアに満ちたセリフ回しとドライな作劇で、残酷なグロ描写とは裏腹に訪れる多幸感に包まれる。ローファイかつ淡白なカッティングと撮影、オフビート推進する物語と目の前で起こる惨劇のアンバランス感に、いつの間にか熱を帯びる。
劇中の死者には丁寧にバックグラウンドが用意され、すべてを知っている観客の目の前で、無惨にも冷たくなる身体に思いを寄せずにはいられない。銃声と悲鳴で次に何が起こるのか予想させる間の取り方は一級に上手い。
さらにポリコレ的な価値観に迎合し過ぎる映画業界と社会への批評性をも併せ持つ。登場する誰一人として、良い結末とは言えない最後を迎える。彼らは全員、誰かが望んだ成れの果てであるという通底した眼差しはとても重要。