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PITY ある不幸な男のkohのレビュー・感想・評価

PITY ある不幸な男(2018年製作の映画)
4.0
不慮の事故で昏睡状態の妻がいるある男。その境遇を知る周りの人々は男を気遣い親切に接してくれるが、男は次第にその親切心に依存してしまう…という話。
自己憐憫に浸り、自分の不幸話しかしない男は同情の言葉をかけられるのを期待し、それに快感を覚えているのだ。ラスト30分のあまりに身勝手で不条理な行動は理解し難いものだった…。
男の表情はほぼ無表情で感情が読み取れないが、ある依頼人の「悲劇」を目の前にした時の羨望の眼差しが恐ろしかった。

全体的に彩度を抑えた色彩表現にしているからか、とても無機質に感じるし本作の雰囲気に合っていた。妻が目を覚まし退院し、本来ならば喜ばしい場面であるはずなのに相応しく無い伴奏音楽が流れたり…。不快感を増すような細やかな演出が素晴らしかったです。

想像以上に面白かったのですが、前半部分で退屈に感じて断念してしまう人もいそうなのでおそらく好みは分かれるんじゃ無いかな、という作品。
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