自分の家族がなりたかった職業のコスプレ姿を写した写真集で、大きな評判を集めた写真家の浅田政志。彼を中心に浅田家の姿を描いた実話ドラマ。
「湯を沸かすほどの熱い愛」「長いお別れ」など家族ドラマを扱った作品では良いイメージがある中野量太監督作品。この過去作にも通じる温かみのある家族ドラマに仕上がっていました。
前半は消防士やレーサーなど様々な職業の人に扮して家族写真を撮る浅田家の様子。そして政志の写真家としての成長物語が描かれます。そして後半は東日本大震災の被災地でボランティアとして働き、写真を通じて多くの人と交流する政志の姿が中心。
色々言い出したらキリが無いですが、まずキャストが皆さん本当に素晴らしかった。二宮和也、妻夫木聡、風吹ジュン、平田満の浅田家は本当の家族のような温かさに満ちた姿でしたし、黒木華も持ち味を発揮した演技。そして菅田将暉は最初彼だと分からないほど普段のイメージとかけはなれた姿で驚きでした。
物語全編を通じて写真が持つ不思議な力を実感出来た気がします。写真によって朗らかな気持ちになれたり、一生の思い出を噛み締めたり、大切な人を思い出したり。写真に対する見方がまた大きく変わりましたね。
ちょっとだけネタバレですが、終盤で分かった高原家の行方。政志が初めて家族写真を手掛けた家族が震災に巻き込まれて、どうなってたのかずっと密かに気になっていましたが、無事が判明した時の安堵感は涙が出そうになったほど。
厳しい現実とそれを癒し、希望を持たせてくれる写真の力。とても充実した2時間でした。
