ノラネコの呑んで観るシネマ

浅田家!のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

浅田家!(2020年製作の映画)
4.5
面白かった。
“家族”をモチーフに、写真を撮り続けている写真家の浅田政志の物語。
映画の前半は三重県津市に育った政志が、紆余曲折の末にコスプレ家族写真家として世に出るまで。
後半が3.11後に被災地で写真洗浄ボランティアとなり、家族写真の持つ本当の価値に気づくまで。
人生は劇場。
ある意味誰もが人生で役を演じている。
成りたかった自分と現実の自分。
政志は写真に撮ることで虚実の境界を取り去るのだが、それは実はこの映画がやっていることそのものだと言うメタ構造。
写真は、同じ時間を共有してきた家族のための記憶の器なんだな。
二宮和也が繊細に表現する、主人公のキャラクターがいい。
破天荒だけど誠実。
ダメ人間な様でやるときゃやる。
幼なじみの黒木華との掛け合いも、かわいくて可笑しい。
前半後半で作品のトーンが変わり、後半になると中野量太の持ち味であるユーモアが影を潜める。
まあ、あのシチュエーションでクスッとさせるのは難しかったのだろうが。
驚かされたのは菅田将暉で、ラスト近くでアップになるまで誰だか全く分からなかった。
この人は主役から二番手三番手まで、まさに変幻自在だな。