スローモーション男

ラストナイト・イン・ソーホーのスローモーション男のレビュー・感想・評価

4.5
 エドガーライト最新作!
 
ファッション学校に通うため、田舎から大都会ロンドンへとやってきた少女エロイーズ。1960年代のファッションや音楽が大好きな彼女は古い借家に住むが、毎晩60年代にタイムスリップする夢を見る。そこで歌手を目指す女性サンディーと出会う。

いままでコメディ映画ばかりを撮っていたエドガーライトがホラー映画を撮ったことが意外でしたが、素晴らしい出来映えでした。

 まず60年代イギリスのカルチャーがばんばん出てきて、ものすごく楽しいです!
僕はこの時代の文化が大好きなので、エロイーズと同じ気持ちになりました。また、そのせいで友達ができないと言うのも自分と重なります…。

それから夢の中の憧れの世界へと行くシーンは鳥肌が立ちます。
「ミッドナイトインパリ」のような美しく楽しい世界です。

 そこから一転しホラー展開へ。サンディーは歌手を目指すが男に騙されて売春をさせられていく…。エロイーズはなんとか助けようとしますが、自分にも幻覚が見えはじめる…。
 ポランスキーの「反撥」にちかいテイストと聞きましたが、ものすごく似ているシーンがあります。
 それだけでなく、エロイーズが都会や世間の恐ろしさを実感していく不安をも表現しています。
そして最後は…。

 美しい映像と60年代の明るい音楽に乗せて、血まみれの展開へと進んでいく。
そしてあっと驚くオチ!
正直途中で分かってしまいましたが、その後また展開を見せます。ずっと苦しかったことが解放されます。
この映画ではキャスティングや音楽で「男の都合や世の中の理不尽により、死んでいく女」たちがテーマとなります。
「007」をも使ってしまうのが凄いです!
エドガーライトの古いものばかり好きなのも危険だというオタクに対する教訓も感じられました。

トーマサインマッケンジー、アニャテイラージョイの主演二人は素晴らしいです。
エドガーライトのオタク的な感覚と主人公に感情移入して、かなり興奮した映画でした!