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アザーズのNMのネタバレレビュー・内容・結末

アザーズ(2001年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

分かりづらいところのないストーリー。最後は全てつながり、ああなるほどねとすっきりする。怖さは急なカメラワークや悲鳴、物音、闇や霧など、正統派の脅かし方。
ホラーはホラーだけど理不尽系ではなく、ちゃんとストーリー性もある。


広大な敷地に立つ屋敷にメイドたちが雇われてきた。
そのなかの年配の女性ミルズは、数年前もここで働いていてとても良い思い出だと語る。優しく従順な人で経験もある。
声の出せない娘リディアと、庭の管理をする老人タトルの三人。

女主人グレースは各部屋を案内してまわる。
彼女の言葉遣いは上品だが、反論や質問を受け付けないようなプレッシャーを感じさせる。本人がいつも神経を貼りつめている感じ。静寂を大事にしている。
夫は出征に出たきり便りがないらしい。

その間、一つ部屋を解錠したらそれを施錠してから次の部屋へ移っていく。この家のルール。
それは光アレルギーの二人の子の安全のため。彼らが日光を浴びると皮膚が腫れてしまうそう。それもあってこの家には電気が通っていない。ランプの明かりは平気、日光も少しであれば大事には至らなそう。
その重要な鍵の管理には、ミルズに任された。

母は子どもたちの聖書教育に力を入れている。
ちょっと意地悪で気の強い長女アンは、よく怖がりの弟ニコラスを脅かす。この家には奇妙な少年やその家族がいて私たちに嫌がらせをしてくるのだと。ニコラスはすっかり怯えている。
母はもうその話にうんざりしている様子。しかしアンは決して嘘だと認めない。

母は信じていなかったが、最近妙な物音やおかしなことが起きる。
ある日天井から異音。誰もいるはずがないが確かに人の気配を感じた。
その彼らを実際に見たことがあると言うのは長女アンだけ。
母は猟銃を持ちながらメイドたちと家を点検。家はずっと厳重に管理してきたのに、中に誰かがいるとなったら大変な非常事態だ。

結局何も見つからずグレースが疲れて眠ろうとすると、誰も弾くはずのないピアノが鳴っていたので、銃を持って見に行く。
すると部屋もピアノの蓋自体も解錠されている。
だが誰もいない。
部屋を出ると突然ドアが閉まり鍵が閉まってしまった。
急いでミルズに鍵を持ってこさせ再び部屋に入ると、ピアノの蓋が開いている。
驚いたグレースは神父を呼ぼうと家を飛び出していった。

やけに落ち着いているメイドたち。何やら明らかに何かを知っていそうな様子。

母グレースが歩いていくと、突如目の前に夫チャールズが現れた。喜び抱きつくグレース。
そのまま二人で帰宅。
子どもたちと抱き合い初めて笑顔を見せるチャールズ。
しかしチャールズは呆然としていて朝になってもぐったりと疲れ切っている様子。塞ぎ込んで何も食べない。

アンが再び幽霊家族の話をしようとすると、グレースは再び否定し話を遮った。
アンは泣きながら部屋に帰ろうとすると、ミルズが慰め、私も見たけど言っても信じないと諭した。

グレースが、ベールを被って遊んでいたアンを見に行くと、その姿は見たこともない老婆だった。
娘を返せと言って思わず首を締めたが、ベールを取ってみると泣き叫ぶアン。
わけが分からず、母娘の仲違いもほぼ決定的になってしまった。

アンは子ども部屋でニコラスと話す。「あの日のように」またママがぶったと。

朝起きると、夫チャールズは再び前線に戻っていった。どうしても戻らねばならないらしい。

子ども部屋、そして全ての部屋のカーテンが消えていた。
子どもたちの叫び声を聞いて駆けつけたグレースが慌てて日陰を作りなんとか無事。

そこへ落ち着き払ったミルズとタトル。態度が急変している。
今は光アレルギーが治っているかも、私の妹もある晴れた日治りました等とすっとぼけた話をする。
とにかくカーテンを取り付けろと命じたが誰も命令を聞かない。
グレースは三人を追い出した。

アンはママは頭が変になったと言い、夜中部屋を抜け出し父を探しに行った。一人が怖い弟も付いていく。
二人は敷地内で小さな墓石を発見。三つ並んでいる。
そこにはミルズ、タトル、リディアと刻まれていた。
三人が近づいてくる。急いで家の中に逃げる二人。

同時にグレースも家の中で三人の写真を見つけた。三人はとうの昔に結核で死んでいたことが分かる。
家に入ろうとしたがグレースがすんでのところで扉を締めた。すぐに二人を二階に避難させる。
ミルズはグレースに、家に入れてください、共存したいのです、カーテンを捨てた侵入者は今も家にいますよ、と語る。

その時二階で子どもたちの悲鳴が聞こえた。

知らない人たちが円卓を囲み、そのうち一人の老婆がアンから何かを聞き出そうとしている。
アンは老婆に、私たちは母グレースに枕を押し付けられたと語った。
老婆がアンに、殺されたの?死んだのにどうしてここにいるの?と聞くと、二人は死んでないと叫び、グレースは邪魔しようとテーブルをガタガタ揺らした。
しかしその姿は老婆以外の彼らには見えないのだった。

グループのうちの夫婦らしき男女が、これではっきりした、もうこの家を出ていこうと結論を出し、霊媒師らしき老婆たちも解散となった。

幽霊なのはグレース親子のほうだった。
グレースはある時パニックを起こし子どもたち二人を手に掛け、彼女もあとを追ったようだ。
夫も戦地に魂を残しており、例え家に居たくともその場所に縛られ続けているのだろう。

屋敷に住んでいた一家が出ていく。その様子を見下ろしながら、ここは私たちの家、とつぶやくグレース。
その一家の少年だけはグレースたちが見えているようで窓を見上げていたが、やがて車は出ていった。


降霊術をしている現実の人間たちの解像度が鮮やかで、どちらがこの世にいないほうか一目で分かる。あっ答えがあった、というすっきり感。
窓に残された親子は変わらずぼんやり画質。グレースの言っていた、永遠の痛み、というフレーズが悲しい。彼らはこの先永遠に苦しむのだろうか。永遠にこの家から解放されないのだろうか。メイド三人もかわいそう。残った幽霊たちでせめて仲良くやって、どうにかアダムスファミリーみたいに愉快に暮らして欲しい。

子役たちが二人ともかなりかわいい。それだけに余計に笑ってほしくなる。
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