レジェンド呼子

モービウスのレジェンド呼子のレビュー・感想・評価

モービウス(2022年製作の映画)
3.6
🧛‍♂️「俺はヴェノムだ!」

やっと公開されたスパイダーマン系列のヴィラン「モービウス」の単独映画。不治の血液病を患う天才医師がコウモリのDNAを使った非合法治療を試したら、健康な身体と超人的な力を手にした代わりに人間の血に飢えた《生ける吸血鬼》になってしまった話。ほとんど『ヴェノム2(以下「ヴ2」)』だった。

とにかくアクションシーンのエフェクトがカッコいい。高速で飛び回ったり超音波で動きを読み取ったりして敵を倒していく"ヴァンパイアの戦闘描写"として正解としか思えない、ユニークでスタイリッシュな映像効果は目を見張るものがあったし、最終ゴチャついて何が何だか分かんなくなる感じも、理性でなく"本能"に起因するアクションって感じで、観ててかなり興奮した。ジャレッド・レト演じるモービウスのビジュアルも、原作コミックから想像していたとおりの再現度でめっちゃいい。

一方、今作も惜しかったのが「物語の厚みのなさ」。やはり104分という短尺に収めようとすると、限界まで無駄を削ぎ落としたような単調で不自然なテンポ感の映画になってしまうのかもしれない(しかし見方を変えれば、それは「マーベル初心者でも純粋に物語を楽しめる作品に仕上がっていた」と言えるのかもだけど)。

今作の宿敵はマット・スミス演じるマイロこと"モービウス2号"。マット自体はとんでもなく素晴らしく魅力的だったのだけど、僕としてはもっと分かりやすくユニークな対立関係がほしかったかも。アメコミ映画は個性的なヴィランも見どころの一つだと思っているから、スパイダーマ…とまではいかなくとも何かいいキャラクターが相手役として出てきてほしかったなぁ、というのが正直なところ(『ヴ2』のカーネイジも似てるけど人気キャラなのでOK)。

本当に良くも悪くも『ヴ2』っぽくて、申し訳ないけど二番煎じ感が否めない。たぶんSONYは意図的にこの"手抜き"を行っているように思われるから余計に厄介だし、モービウスに対する雑な扱いに胸が痛くなる(グッズも三種類ぐらいしかなかったし)。一応SPEの看板シリーズなんだからさぁ……モビちゃん強く生きてね。

※しかしポストクレジットシーンのサプライズで、ある程度チャラにしてくれるアツい展開も『ヴ2』と同じ!シリーズを追っているマーベルファンなら絶対観る価値アリです🦇