Punisher田中

最強殺し屋伝説国岡 完全版のPunisher田中のレビュー・感想・評価

5.0
「ちょっとお前 信じられないくらい強いじゃないか」

監督の阪元は、女子二人組の殺し屋を描く新作映画『ベイビーわるきゅーれ』のシナリオに取り掛かっていた。
阪元は“関西殺し屋協会”という殺し屋ビジネスネットワークがある事を知り、シナリオ作りの参考に協会に取材を申し込む。
協会から紹介された人物は、京都最強と呼ばれるフリー契約の殺し屋・国岡昌幸。
国岡の密着取材を行う事になった阪元だったが、予想以上に普通であり、淡々と殺しを仕事としてこなす日常を送る国岡だった。
しかしある日、連絡ミスによって間違った人間を殺してしまった国岡は、逆上した依頼元から送られてくる同業者と殺された人間の仇を取りにかかる者たちの両方に狙われる事になるのだった...

殺し屋も立派な社会人であり、人間だ。

親身で、ここまで血が通った殺し屋作品があっただろうか??
京都1と名高い最強の殺し屋・国岡の日常と仕事(殺し)を手持ちのカメラによる荒いカメラワークで収めたモキュメンタリー作品だったが、本当にただただ面白い。
緩い日常と殺しに散りばめられたブラックジョーク、そして""本物""のアクション。
この緩急の付け方と急に出て来る""ガチ感""は、正にあの白石晃士監督のモキュメンタリー作品達を彷彿とさせてくれ、四六時中アドレナリンが出っ放し!
あっさりした殺しから命の獲り合いまで、様々な仕事を見せつけてくれるサービス精神は見事。
ありとあらゆる仕事と個性豊かな殺し屋達を描きながらも、国岡自身のストーリーもしっかりと描き切っている構成・脚本の巧さには唖然とした。

そして、阪元監督といえば...やはりアクション!
序盤や中盤をみていると、今作はあっさりめかな?と思ったが、怒涛の展開から一気に始まる死闘の数々でアクション濃度がかなり高くなっていた。
スマートで無駄の無いボクシング、ジークンドーやシラット等の様々な武術のエッセンスがミックスされた戦闘スタイルは観ていてかなり楽しいスタイルで、特にラッシュなんかは時にチェーンパンチであり、時にシラットの乱打であったり、様々な顔を見せるアクションは全く飽きがこない。
アクションだけでも十分面白いのに、更にはアクションにすらギャグを入れている無敵っぷり、しかし決める時はしっかり決める。これこそが現代のシティハンターであり、日本の現代を生きる映画としての殺し屋だ!!
という風にわけがわからない文を書き連ねてきたが、要するに面白いということです。
これが阪元監督だ!!これが国岡だ!!
鑑賞中はくれぐれも私語と地雷に気をつけてお楽しみを!(冗談)

追記
私事ですが、映画系YouTuberの「シネマンション」のお二人が行う「ヤッチマイナライブにFilmarksのフォロワーさんと共に行ってまいりました!
ゲストはまさかの阪元組!!「ベイビーわるきゅーれ」の御二方と今作主演の伊能さんといった超豪華ゲストによるトークライブはただただ最高で、今作の貴重な制作秘話なんかはもう生オーディオコメンタリーの様な緩さで最高だったし、今作の7割がアドリブってマジ...?!
8月26日に公開する今作のスピンオフ「グリーンバレット」も超絶楽しみ!!