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ミッドサマーのnaocoのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
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音楽の明るい不穏さが最高にいい。クスリがキマってるときのような(っつてもやったことないからイメージだが)ぐらぐらする映像も異世界感が強くてよい。

不安と同調圧の恐ろしさをカルトの風味でお届けする物語。
ストーリーの主軸となるカップルはお互いに同調圧に弱いタイプで、それは一対一で向き合ったときには互いの共感で引っ張られあう形で、なんとなくずるずるとしている。ダニーはさらに家族の不安にシンクロしてしまって心を病み気味。

そんな二人が仲間と(同調する形で)訪れたカルト村は、思うに女たちの同調が支配する世界だったのではないか。女たちは誰かの感情に共鳴し、踊ったり歌ったりついには泣いたり喘いだりする。同調力の高さ故にふたりは村の感情に飲み込まれながら最後まで生き残る。

で、散々同調した挙げ句、クライマックスでひとりで選択することを迫られるダニー。あの選択とラストの表情は、自分でも半ば持て余していた同調能力からの解放だったのだとしたら一抹の清々しさがある終わり方である。

一方で我欲が強く戒められていたのも印象深い。コミューンを否定して個で逃げ出そうとした者も欲望に負けて掟を破った者も悲惨な最期になる。我欲とは同調圧の敵なのかもしれん。

舞台をカルト村にしてどきつい因習を描いたのは、同調圧で判断力が鈍った果ての世界をえげつなく描くためだったのかな。心理描写や人間関係の構造としては一般社会と大差ない。(しかしなぜ村の場所はスウェーデンと明示されていたのか)

グロ注意と聞いて怯えて行ったけどグロは蝋人形レベルでした。
つーかさ、あのモザイクはないぜ。
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