ワイカ

ベスト・オブ・エネミーズ ~価値ある闘い~のワイカのレビュー・感想・評価

4.6
 とても良い映画だった。人種差別への抵抗や、民主主義の原点である話し合いの大切さがひしひしと伝わってきました。

 1971年、黒人差別が根強い米南部の街で、黒人学校と白人学校の統合をめぐり住民同士が対立し、話し合いで解決を目指す中、KKKの支部長と女性黒人活動家という両極にいる人物が少しずつ互いを理解していく実話ベースのストーリー。

 黒人差別を描いた映画って、白人至上主義者を酷いだけの人物として描くことが多いけど、こちらは白人側の背景を掘り下げてる点が他とは違うところ。そのおかげで短絡的な白人批判になってなくて新鮮だった。そういう意味では「クラッシュ」に近い印象を受けました。

 そんな白人(KKK支部長)を演じたサム・ロックウェルが素晴らしかった。この人以外は考えられないような演技と雰囲気。この人最近立て続けにいい役を演じてる気がします。

 女性活動家の黒人も、ありがちなキャラだけど存在感があった。

 最後はちょっと読めちゃったけど、素直に感動。エンドロールの本人たちの映像は微笑ましかったな。

 惜しいのは、この話し合いを主催した黒人男性も大きな功労者なのに、あんまり掘り下げられてなかった点。主役2人に焦点を絞りたかったんだろうけど、キーマンなんだから背景の説明くらいはもう少しあってもよかった気が。

 何はともあれ、観て良かったと思える素敵な映画でした。黒人差別が改めてクローズアップされてる昨今、観て損はない作品です。

 
ワイカ

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