DJあおやま

サウナのあるところのDJあおやまのレビュー・感想・評価

サウナのあるところ(2010年製作の映画)
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サウナに行くと、決まって「人生とは?」と深い思考に陥ってしまう。どれだけ長時間サウナにいても、体中の水分が体外に抜け出すばかりで、決してその答えは出ないが、不思議と気持ちはすっきりする。先日も、どうしても参ってしまうことがあり、思わず逃げ込むように近所のサウナへ走った。そこで、サウナと水風呂を行き来しているうちに、気づけば身も心も軽くなっていた。僕にとってサウナは魂の救済の場なのかもしれない。
この作品の舞台はフィンランド、言わずと知れたサウナ大国。国民の数に近い数のサウナが国中に溢れているという。そんなサウナで、さまざまな男たちが無防備な姿で、過去の悲哀や苦しみ、悩みを吐露し、心も裸になっていく。汗とともに涙を流すその姿に、どこか自分を重ね合わせてしまった。やはりサウナは魂の救済の場なのだ。自分こそ思慮深い唯一無二の人間だと錯覚していた少年時代を経て、自分がいかに矮小な人生を歩む人間なのかと絶望する毎日。ただ、大袈裟だが、そこにサウナがあることで魂が救われている気がする。どれだけ参ってしまっても、サウナに行って整っているうちはなんとか生きていける。なんだか妙な勇気をくれる映画だった。
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