「私の息子です」
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セウォル号沈没事故で息子を亡くした家族の喪失と向き合う日々。悲しみを抱え内向的に感情を向かわせる母、海外赴任中に起きたトラブルにより家族の側に居れなかった父。残された家族や同級生達があの日からどう生きてきたのか、思い出と悲しみを持ちより誕生日を祝い涙する姿に感極まる
自身も寂しさを抱えながら幼くも悲しみの中にいる両親を想う妹。同じ時の中を生きてきた幼なじみや生存者となった同級生の葛藤や心の傷や痛み。事故の詳細には触れず、残された者たちのその後をセリフで語らず表現で繊細に描く
夜中のマンション中に鳴り響く泣き声、その泣き声を聞き耐える隣人達の心情も重なり堪らなく辛いシーンなど、喪失と悲しみを受け止めやり過ごす各々の姿を細やか且つ丁寧に描いてきただけに、最後の最後に詩人のポエムでスピリチュアルに着地したのは涙腺決壊直前だった感情の行き場に戸惑った、、。
息子を失った夫妻を演じたソル・ギョングとチョン・ドヨンの心情が伴う見事な演技、残された者たちのそれぞれの悲しみ方に寄り添う演出と素晴らしい作品ゆえに、ポエムが彼らを救い必要としている言葉であったが、此処をどのように受けとめるかで作品に対する思いが大きく変わりそうですね。