風ノ助

パパは、出張中!の風ノ助のレビュー・感想・評価

パパは、出張中!(1985年製作の映画)
4.0
少年マリクの父メーシャは国家の体制批判をしたため逮捕される
父が帰ってこない理由を母親は「パパは出張中よ」と言ってごまかす

1950年頃のユーゴスラビアはスターリン主義の影響下にある社会主義国家で警察が反思想の取り締まりをしています
メーシャは過激な反体制運動をしていたわけでもなんでもなく、新聞の挿絵を見て側にいた愛人にポロッと不満をこぼしただけで逮捕されてしまいます、しかも告発したのは身内の人

一連の出来事自体は理不尽ですがこの父親、女にだらしなく浮気しても全然悪いと思ってないような男なので彼個人の印象はヤな奴です
刑罰の内容も田舎で労働するだけなのでいまいち悲惨さは伝わってきませんでした
社会批判が込められている映画なのである程度の情勢を知らないと分かりづらいかもしれませんが知識があっても他国の事を理解するのは難しいです
それでも知ることは大事だとは思いますが…

ただ今作は国家に振り回される家族や少年の成長物語をユーモアを持って温かい目線で描いているので堅苦しい感じは全然しないです
お得意の祝祭シーンやパワフルさはあっても後の作品に見られるようなカオス感はまだ薄くてシンプルでストレートな作品になってました
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