たくみ

ペイン・アンド・グローリーのたくみのレビュー・感想・評価

4.5
なんと美しく私的で赤裸々な作品なんだろう!

自分は映画を観る時は一日に数本観る事が多く、休日前に映画予定を組む。この日は朝から2本映画を観て、時間が合えばもう一本・・・って思ったところへ、ちょうど良い時間に上映されていたのがこの作品。

…ってだけの理由で鑑賞w監督がペドロ・アルモドバルって予備知識だけで後はどんなお話しか全く理解してなかった。

本作はアルモドバル監督の自伝的な作品でした。

母への思慕、性への目覚め、死への恐怖、かつての恋人への恋慕、芸術へのこだわり…監督の内面に渦巻く色んな物が後から後から溢れ出てくるのに観客がただ翻弄される作品です。

元々アルモドバル監督の作品は私的なものが多いですが、ここまで内面をさらけ出した作品は初めてじゃないかな。

だからこそキャストにもこだわって、信頼できる友としてのバンデラスを主役に据え、彼の女神ペネロペ・クルスを若かりし頃の母にキャスティングしたのでしょう。

映画と言うより、芸術家が精魂こめて描いた絵画を鑑賞している様な気分になりました。絵画にはめっきり疎い自分ですが、本当の名画ってきっとこんな気持ちで鑑賞するもんなんだろうなって気がします。
たくみ

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