マルチバースの自分自身を殺すことで力を集約させるという法則を利用し125もある別次元の自分自身を殺害していく男が映されるという凄まじい程の求心力を秘めた設定に惹かれ鑑賞。
クッソダサすぎる80キロ走り描写に始まり、多次元にいる主人公のビジュアルがコントコスプレ感バリバリという、ニッコリとさせてくれる所々の安っぽさは個人的好み。本作開始14分程で既に123人の自分を亡き者にしていたという事実が発覚し「自身と闘う美味しい所もうそんな終わってんの!?」という脚本に驚愕(悪い意味で)。こんなんで大丈夫かと思ったら案の定中盤は凡庸なSFに落ち着いてしまったものの後半からの盛り上がり、締め方は気持ち良く。序盤はツッコミしつつ、中盤はやや退屈、後半はなかなか見応えありという感想。本作の加速演出がダサいものの反面スロー演出はよく、戦闘シーンはカンフーアクションで構成されるわけですがこの点に関しては良い。MRI検査装置やガス管等フィールドに存在する小物を活かした戦闘中の演出は魅力的で、超人的力が為せる破茶滅茶暴力と正統派カンフーガチンコバトルは素晴らしいの一言。
123人のパワーが集約しているという割には常人より遥か高みって感じの超人さはあまり感じないし、123人殺害されるまで捜査局は何してたとか、犯罪者コロニーの管理とか気になる部分は山ほど出てくるわけで、つまらなくはないけど手放しに褒められる作品というわけでもない、しかし評価したい点は多々あるわけで、色々と惜しい作品。一番思うのはマルチバースを謳っている手前映される世界が2つ3つは物足りないなあ。