cinefeparis

82年生まれ、キム・ジヨンのcinefeparisのネタバレレビュー・内容・結末

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

 原作を読んでから本作品を鑑賞しました。原作も読みやすくて素晴らしいですが、本編も原作の要点を抑えつつ、映像としての表現の仕方が素晴らしい!映像化することで、より伝えたいメッセージが強調されて、見逃してしまいがちな些細な事柄に意味があると気づけました。例えば、嫁側と夫側それぞれの実家のリビングのシーンで、敢えて同じアングル、同じ家具の配置だけれど、展開する家族間の会話は男女に対する価値観は全くと言っていいほど正反対だった。2つの家族の価値観の違いがより引き立ち、浮き彫りにしていたシーンは映像化ならではの演出でメッセージ性がより強く伝わってきてとても良かったです◎
 もう一つ印象的だったシーンは、夫が子供がほしいとねだる時にそれぞれの受け答えについて。妻「私は人生が変わるじゃない、あなたは何が変わるの?」、夫「僕も生活が変わるよ」と。ここにこの映画のすべてが詰まっているように思えた。妻は「人生」が変わると言っているのに、夫は「生活」が変わると明るく平然と言う。会話が噛み合っているようで、実は本質的に全く噛み合ってないことに気づかされる。
 本作のテーマである子育てを通じて浮き彫りになる男女の格差問題、セクハラ、子持ちワーカーへの偏見、男尊女卑など、未だに埋まらない多種多様にある深い溝は今後埋まるのかなぁ~と腕組して考えちゃいました。   最後のシーンはジオンが前向きに未来を考えられる希望の光が射していたところで終わったけれど、もっと生きやすい世界になってほしいものです。
cinefeparis

cinefeparis